浮気男のシンデレラ
パーアニーHOTELの初雪
待ち遠しかった土曜日が来た。
朝から髪を巻いてパタパタ
ママは今日は副社長が用事で
居ないからとバタバタして、
7時には出て行った。
パパに会社迄送り迎えを頼んでいた
ママ、ゴメンなさいと、2人には
豪華な、お弁当を作ってあげた。
バタバタと出掛けたはずのママが
《《バアアーン》》とドアを開けて
「本当に誕生日、陽菜と一緒でいいの ね。」と確認してきた。
「うんいいよ。」
「月曜日だけど、いいのね。」
再確認してきた。
「いいよ。
ひなは休み取ったみたいだけど私は、病院忙しいから。
5時には帰るし佳代さん、穂花呼ん
で るし。」
「了解、了解」
又ママはドタバタ、ドタバタと
車庫へとダッシュして行った。
この時は未だ、慶一道は陽和の誕生日を祝う為にわざわざ休みを入れたのだと思い込んでいた。
陽和も髪を巻いたり化粧をしたり
忙しなくしていた。
パーアニーHOTELか、何処にあるん
だろう。
“ま‼タクシーで行くからいいか‼“
と思っていた。
土曜日だし、混みだしたら、
遅れちゃう。
1時間前の10:00には家を出た。
こんなにワクワクドキドキ
久しぶりのトキメキだった。
「ヤバい、慶一道の事好きに
なっちゃったかも・・・。」
そんな想いが溢れてきた。
御化粧も、いっもより念入りに
彼の為に買ったドレスも似合ってる
と思う。
おかま店長さんに“有難う“と言いたい。
車はパーアニーHOTELに着いた。
高級感のあるデカいホテルで、
高級車がバンバン入ってくる。
ロビーもひろく、外国人が喜びそう
な日本画が飾られている。
似合わない場所で慶一道を待つ。
陽和の足元にピカピカの革靴が
目にはいった。
パアアアアァッ《《慶一道》》
陽和は満面の笑顔で顔を上げる。
然し陽和を迎えた人物は・・・
武蔵野 蒼太
陽和は一瞬体が強ばった・・・
質のいいグレーの、スーツに、
ワインカラーのネクタイ
ギラギラの腕時計をつけた彼が現れた。
「エッ‼」
そんな驚く陽和の事は計算されていたようで、
「おー‼さすが、時間通りだな‼」
彼はそう呟いた。
そんな陽和を見つめ蒼太は、ニヤニヤしながら
“ふ〜ん“
上から下まで舐めるように観察して
くる。
「慶一道に、頼まれたんだ‼
君を一日エスコートしてくれってね。
ふ〜ん、
折角、可愛らしくして来たのにね。
慶一道も残酷な事するよな〜
昔から、裏切り者には、こっ酷く
し返すトコあんだよ。
アイツ‼」
陽和はポカーンとしていたが、蒼太に聞いた。
「裏切り者・・・って何?
《《エッ‼彼は来ないの?》》
彼と約束が有るのよ。
彼は来るわよ。」
「勿論、来てるよ。
昨日からね、いゃあ〜ジオンと
朝からアツアツで、大変なんだよ。
目のやり場に困るほど
イチャイチャ、イチャイチャして
ね。」
陽和の顔が強ばって、動かない。
「アツアツ?・・・なんで?
どういう事?」
はぁ?蒼太は以外に物分りの悪い
陽和にイラついた。
「昨日、ジオンを迎えに空港迄行っ
て、そのままホテルに入ったんだよ‼
二人で朝9時に起きて朝食を取って
いたよ。
スッカリ恋人気取りだったってワケ」
蒼太は少しイラつきながら強めの
口調で言った。
《《嘘、彼はそんな人じゃない‼》》
不安丸出しの陽和の顔を眺めた後
ニヤニヤしながら蒼太は言った。
「いやいやいや、嘘ついて何になる?
昨日の話じゃさー
ジオンも交渉に来た慶一道に
一目惚れしたみたいでさ〜
もう2人を邪魔しちゃ駄目だよ。
二人は両想いなんだからさ‼」
蒼太はギラギラした時計を見て
「おっと‼もう、時間だよ、セレモニ
ーが始まるよ、行こうか?
君を連れていかないと慶一道に
叱られるしね。
キミの事頼まれてるし
君もその目で、事実を
確かめた方が安心
じゃないの?」
そう言うと、「いこうか‼」
と陽和を誘導するように歩きだした。
陽和も半信半疑、何かのサプライズに
違いない。
そう思いながら歩いた。
だって慶一道は柔らかな笑みを浮かべ
陽和が一番だって、言ったじゃない。
慶一道を信じる。
ジオンとそんなの有り得ない‼
会場に入ると檀上に現社長の話が
終わりホテルを設計して、運営してい
く、パーアニーホテルの経営者
芹澤 友樹が姿を現し喝采を浴びて
いた。
友樹は挨拶の後、こう言った。
「今日は皆様お越しくださり
有難うございました。
今日は、サプライズゲストを 呼んで
います。今や世界のトップモデル
リ.ジオンと私の無二の親友
雅楽代慶一道━━━━━パチパチパ
チパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
カメラをお持ちの皆様、遠慮なく
ご撮影下さい。
オレンジ色のライトがバンと音を立て
シルバーの光とグルグル周り
後部の分厚い扉が開いた。
黒服に赤の蝶ネクタイ、目を見張る
程キメて、うっとりする程、
カッコイイ慶一道が現れた。
右手は彼女の手を取り
これまたマリリ〇・モ〇ローの
様なシルバーの、セクシーなドレス
を着こなし、 華やかなジオンが
いた。
突然現れた若い女性の憧れの
リ.ジオンに皆興奮し
これまた抱かれたい男NO1の慶一道
が一緒なので大歓声が起きた。
会場はたくさんの拍手と、動揺も広
がった。
ピューピューと口笛も飛び出し
2人は大歓迎されていた。
リ.ジオンの指はガッツリと慶一道が
握って、2人は自然に開いた人の道を、
抜け檀上へと進む中、陽和に肩があた
った。
ゴン‼
《《イタツ‼》》
チッ慶一道の舌打ちが微かだが聞こ
えた。
陽和はビックリして慶一道を見た。
慶一道は顔色を変えること無く
ジオンの手を取り檀上へとあがる。
ぶつかった肩は、慶一道のスーツ
の感触が残った。
微かな痛みが陽和を不安にした。
赤とオレンジのライトに変わり
2人は寄り添い檀上へと上がると、
オーキッドのCMソングが高音量で
流れ、2人はタンゴのリズムに
合わせて踊りだし、音楽が終わると
抱き合って、キスをした。
《《キスしても落ちない甘い色‼》》
オーキッド化粧品。
今年の春はストロベリーのKISS
それはそれは絵画のようで美しい
二人だった。
アンコール、アンコールの拍手は
やまない。
ふたりは軽いリップキスを二、三回
くりかえし、慶一道は陽和から目を
離さなかった。
慶一道は陽和をみて、ニヤリと意味ありげな薄笑いを浮かべた。
直ぐに熱愛報道がながれた。
慶一道の、冷たい眼差しで、何かが
壊れた。周りの音が消え背景も消えた
陽和には、慶一道とジオンの作った人
の道をあとがえり、振り向いた時には、
慶一道はジオンと友樹と抱き合って
ホテルのオープンを祝い赤いワイン
で乾杯のグラスをあげていた。
陽和の事を欠片も心配せず
満面の笑顔をみせていた。
陽和はァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、放心状態
トボトボと前へと足をすすめる。
そしていつの間にか、ホテルの
ロビーに座っていた。
「なんでこんな裏切りをする?
私は諦めていたのに・・・
ほうって置いてくれたら良かった
のに・・・
でも、でも、こんなに寂しいのは
なんでかなぁ。」
陽和は誕生日を御祝いしてもらえる
と喜んだのに・・・
とんだしっぺ返しをくらった。
HOTELの一枚ガラスに、陽和がポッンと寂しそうに写っている。
そんな自分を見て
"どうしたらこうなった?
何がいけなかった?
と呟いた。
日本庭園を広く取った庭に、粉雪が
チラホラ降り出した。
綺麗、しばらく見とれていると
粉雪はフワフワした牡丹雪に変わり
日本庭園を余計貫禄ある風景に写し
だした。
韓国では、初雪に願い事をすると
聞いた。
陽和は窓の外の雪に願い事をした。
小さく手を合わせて目を瞑り
祈りをささげた。
そしてそのままホテルをでた。
しんしんと、降る雪に身を任せて
歩きたかった。
冬の寒さも冷たさも全部受け入れ
体を雪で包みたい。
何だか寂しくて、淋しくて
どうなってもいいような
残酷な失恋。
慶一道は会場を出る陽和を見て
(⊙ꇴ⊙)ザマァミロ、俺を騙した罰だ‼
と胸のすく思いがした。
俺が惚れていることを手玉にとって
友達を裏切らそうとした。
いいザマァだ‼
“反省しろよ‼フン‼“
俺もヤケになりジオンとひとつの
ベッドで夜を明かした。
お試し期間に入って、ずっとご無沙汰だったから、いい訳はしない。
久しぶりに燃えた、熱い夜だった。
ジオンは遊びだからと言った。
勿論俺も同じだ‼
以前の俺ならなんともない遊びだ、
しょっちゅうやってた事だ。
大したことは無い、軽いノリだった
然し胸に残るのは罪悪感
重圧感に押し潰されそうに今は苦しい。
陽和に目にものを見せてやりたかった。
その思いが背中を押した。
ジオンは慶一道に言った。
「慶一道、好きな人がいるの?」
「いや、いないよ!なぜ?」
「そう、なんか寂しそうだし
気持ちがこもって無さそうだし、」
「そんな事ないよ。」
俺はジオンを抱きしめ又キスをした。
「ほら・・・ね。」
「・・・そうね。」
朝を迎えたベッドの中で言われた。
ジオンはその日のうちに母国へと
帰って行った。
俺も部長に、代理を任せていたから
同窓会には1時間だけ出席して
会社へと帰った。
すると部長が、ホッとした顔をした。
「あ〜良かった 早かったですね。
申し訳有りませんが、今日は帰
ってもいいでしょうか?」
いっも忽然としている部長がソワソワしながらきいてきた。
娘が風邪引いたみたいで熱が高いら
らしいんです。
なんかパーティに誘われて、
パーティドレス迄新調したらしい
んですけど、
彼氏と喧嘩したかなんかで
パーティドレスに何も着ないまま
帰ったみたいで、」
「え‼雪降ってたでしょう。
へぇー、喧嘩って部長の娘だもん
ね、 気強そー‼」
「ま、まあそうかも。」
「主人に似て、慎重なとこあるのに
よっぽど好きだったん
でしょうね。」
「ふう〜ん
熱下がるといいね。
なんのパーティに行ったの?
パーティの主催者も気づか
なかったのかなぁ。
配慮が足りないよ。」
「なんか、誕生日御祝いして貰う
つもりが喧嘩になったみたいで
何を喧嘩したのやら、行ってみたら
ホテルのオープンの、御祝いだった
らしくて、そそっかしいと
ゆうか・・・」
「アハハハハ部長の娘にしては
抜けてるじゃないか!
可愛い、 」
「えー
副社長、娘には手出さないで
下さいよ。」
「アハハハハ、アハハハハ
大丈夫、部長の娘が美人とは
聞いて、知っているよ。
社内の噂だけど
でも、部長が義母になるような事
無い、無い無い‼」
「本当に娘には騙されました。
彼氏いないってずーっと言ってたん
ですよ。
妹の話じゃ、随分惚れてるとか、
仲直り出来るといいんですけど、
シッカリ者なので喧嘩の内容次第
でしょうね。 許さない事なら
許さない子なので」
「部長、今彼氏居ないって言っても
いるよー。」
慶一道は上着を脱ぎソファにポイと
置いて、ネクタイをゆるめた。
「本当、陽和って、分からない
あんまり口に出さないので
《《えっ๏д๏陽和?》》
じゃあ帰ります。
後は山岡君に話してありますので、
陽和、今日誕生日なんですよ。
ケーキ食べれるかなぁ?
あの子誕生日とクリスマスは
自分の作ったケーキじゃ無くて
誕生日のケーキは作らず
ケーキ屋さんのケーキと決め
てるんです。閉店迄ギリギリかなぁ
でも、23日もパーティするしなぁ〜
副社長、どう思います?
23日も妹の陽菜の誕生日なんで、
陽和と一緒にお友達呼んでパーティ
するんですけど、
今日の陽和の誕生日、ケーキいりますかね?
あ‼武蔵野先生にも連絡入れとか
ないと。」
部長は慌ててスマホをスクロール
「えっ‼武蔵野先生?待って‼
写真見せて 部長の娘さんの。」
「あれれ、興味わきました?」
ガサガサとバックを焦り部長は
待ち受けをみせてくれた。
「左が陽和で、右が陽菜ですよ。」
部長の待ち受けには俺の祖父の家で
生まれたダックスフンドと
それを抱く陽和と妹らしき人物がいた。
「じゃ、失礼します。」
エッ‼アッ・・・あ、あ・・・あ“エーエエツ💦💦
「あ、部長、ケーキは・・・買ったが
・・・い、いよ。
妹さんとは、生まれた日
別・・・だ、から・・さ。
ケーキ代あげるから待って、
御祝い・・・し、しなきゃね。
た、たたた、誕生日なんだから
サ、ŏ﹏ŏ。」
「いえ、いえ、私にそんな事されたら
社の全員にしなくちゃいけませんよ
お気持ちだけで充分です。」
そう言って部長はそそくさと
帰って行った。
誕生日、誕生日ケーキ、陽和の誕生日?
23日じゃ無かったのか?
陽和は嘘を付いていなかった。
朝から髪を巻いてパタパタ
ママは今日は副社長が用事で
居ないからとバタバタして、
7時には出て行った。
パパに会社迄送り迎えを頼んでいた
ママ、ゴメンなさいと、2人には
豪華な、お弁当を作ってあげた。
バタバタと出掛けたはずのママが
《《バアアーン》》とドアを開けて
「本当に誕生日、陽菜と一緒でいいの ね。」と確認してきた。
「うんいいよ。」
「月曜日だけど、いいのね。」
再確認してきた。
「いいよ。
ひなは休み取ったみたいだけど私は、病院忙しいから。
5時には帰るし佳代さん、穂花呼ん
で るし。」
「了解、了解」
又ママはドタバタ、ドタバタと
車庫へとダッシュして行った。
この時は未だ、慶一道は陽和の誕生日を祝う為にわざわざ休みを入れたのだと思い込んでいた。
陽和も髪を巻いたり化粧をしたり
忙しなくしていた。
パーアニーHOTELか、何処にあるん
だろう。
“ま‼タクシーで行くからいいか‼“
と思っていた。
土曜日だし、混みだしたら、
遅れちゃう。
1時間前の10:00には家を出た。
こんなにワクワクドキドキ
久しぶりのトキメキだった。
「ヤバい、慶一道の事好きに
なっちゃったかも・・・。」
そんな想いが溢れてきた。
御化粧も、いっもより念入りに
彼の為に買ったドレスも似合ってる
と思う。
おかま店長さんに“有難う“と言いたい。
車はパーアニーHOTELに着いた。
高級感のあるデカいホテルで、
高級車がバンバン入ってくる。
ロビーもひろく、外国人が喜びそう
な日本画が飾られている。
似合わない場所で慶一道を待つ。
陽和の足元にピカピカの革靴が
目にはいった。
パアアアアァッ《《慶一道》》
陽和は満面の笑顔で顔を上げる。
然し陽和を迎えた人物は・・・
武蔵野 蒼太
陽和は一瞬体が強ばった・・・
質のいいグレーの、スーツに、
ワインカラーのネクタイ
ギラギラの腕時計をつけた彼が現れた。
「エッ‼」
そんな驚く陽和の事は計算されていたようで、
「おー‼さすが、時間通りだな‼」
彼はそう呟いた。
そんな陽和を見つめ蒼太は、ニヤニヤしながら
“ふ〜ん“
上から下まで舐めるように観察して
くる。
「慶一道に、頼まれたんだ‼
君を一日エスコートしてくれってね。
ふ〜ん、
折角、可愛らしくして来たのにね。
慶一道も残酷な事するよな〜
昔から、裏切り者には、こっ酷く
し返すトコあんだよ。
アイツ‼」
陽和はポカーンとしていたが、蒼太に聞いた。
「裏切り者・・・って何?
《《エッ‼彼は来ないの?》》
彼と約束が有るのよ。
彼は来るわよ。」
「勿論、来てるよ。
昨日からね、いゃあ〜ジオンと
朝からアツアツで、大変なんだよ。
目のやり場に困るほど
イチャイチャ、イチャイチャして
ね。」
陽和の顔が強ばって、動かない。
「アツアツ?・・・なんで?
どういう事?」
はぁ?蒼太は以外に物分りの悪い
陽和にイラついた。
「昨日、ジオンを迎えに空港迄行っ
て、そのままホテルに入ったんだよ‼
二人で朝9時に起きて朝食を取って
いたよ。
スッカリ恋人気取りだったってワケ」
蒼太は少しイラつきながら強めの
口調で言った。
《《嘘、彼はそんな人じゃない‼》》
不安丸出しの陽和の顔を眺めた後
ニヤニヤしながら蒼太は言った。
「いやいやいや、嘘ついて何になる?
昨日の話じゃさー
ジオンも交渉に来た慶一道に
一目惚れしたみたいでさ〜
もう2人を邪魔しちゃ駄目だよ。
二人は両想いなんだからさ‼」
蒼太はギラギラした時計を見て
「おっと‼もう、時間だよ、セレモニ
ーが始まるよ、行こうか?
君を連れていかないと慶一道に
叱られるしね。
キミの事頼まれてるし
君もその目で、事実を
確かめた方が安心
じゃないの?」
そう言うと、「いこうか‼」
と陽和を誘導するように歩きだした。
陽和も半信半疑、何かのサプライズに
違いない。
そう思いながら歩いた。
だって慶一道は柔らかな笑みを浮かべ
陽和が一番だって、言ったじゃない。
慶一道を信じる。
ジオンとそんなの有り得ない‼
会場に入ると檀上に現社長の話が
終わりホテルを設計して、運営してい
く、パーアニーホテルの経営者
芹澤 友樹が姿を現し喝采を浴びて
いた。
友樹は挨拶の後、こう言った。
「今日は皆様お越しくださり
有難うございました。
今日は、サプライズゲストを 呼んで
います。今や世界のトップモデル
リ.ジオンと私の無二の親友
雅楽代慶一道━━━━━パチパチパ
チパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
カメラをお持ちの皆様、遠慮なく
ご撮影下さい。
オレンジ色のライトがバンと音を立て
シルバーの光とグルグル周り
後部の分厚い扉が開いた。
黒服に赤の蝶ネクタイ、目を見張る
程キメて、うっとりする程、
カッコイイ慶一道が現れた。
右手は彼女の手を取り
これまたマリリ〇・モ〇ローの
様なシルバーの、セクシーなドレス
を着こなし、 華やかなジオンが
いた。
突然現れた若い女性の憧れの
リ.ジオンに皆興奮し
これまた抱かれたい男NO1の慶一道
が一緒なので大歓声が起きた。
会場はたくさんの拍手と、動揺も広
がった。
ピューピューと口笛も飛び出し
2人は大歓迎されていた。
リ.ジオンの指はガッツリと慶一道が
握って、2人は自然に開いた人の道を、
抜け檀上へと進む中、陽和に肩があた
った。
ゴン‼
《《イタツ‼》》
チッ慶一道の舌打ちが微かだが聞こ
えた。
陽和はビックリして慶一道を見た。
慶一道は顔色を変えること無く
ジオンの手を取り檀上へとあがる。
ぶつかった肩は、慶一道のスーツ
の感触が残った。
微かな痛みが陽和を不安にした。
赤とオレンジのライトに変わり
2人は寄り添い檀上へと上がると、
オーキッドのCMソングが高音量で
流れ、2人はタンゴのリズムに
合わせて踊りだし、音楽が終わると
抱き合って、キスをした。
《《キスしても落ちない甘い色‼》》
オーキッド化粧品。
今年の春はストロベリーのKISS
それはそれは絵画のようで美しい
二人だった。
アンコール、アンコールの拍手は
やまない。
ふたりは軽いリップキスを二、三回
くりかえし、慶一道は陽和から目を
離さなかった。
慶一道は陽和をみて、ニヤリと意味ありげな薄笑いを浮かべた。
直ぐに熱愛報道がながれた。
慶一道の、冷たい眼差しで、何かが
壊れた。周りの音が消え背景も消えた
陽和には、慶一道とジオンの作った人
の道をあとがえり、振り向いた時には、
慶一道はジオンと友樹と抱き合って
ホテルのオープンを祝い赤いワイン
で乾杯のグラスをあげていた。
陽和の事を欠片も心配せず
満面の笑顔をみせていた。
陽和はァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、放心状態
トボトボと前へと足をすすめる。
そしていつの間にか、ホテルの
ロビーに座っていた。
「なんでこんな裏切りをする?
私は諦めていたのに・・・
ほうって置いてくれたら良かった
のに・・・
でも、でも、こんなに寂しいのは
なんでかなぁ。」
陽和は誕生日を御祝いしてもらえる
と喜んだのに・・・
とんだしっぺ返しをくらった。
HOTELの一枚ガラスに、陽和がポッンと寂しそうに写っている。
そんな自分を見て
"どうしたらこうなった?
何がいけなかった?
と呟いた。
日本庭園を広く取った庭に、粉雪が
チラホラ降り出した。
綺麗、しばらく見とれていると
粉雪はフワフワした牡丹雪に変わり
日本庭園を余計貫禄ある風景に写し
だした。
韓国では、初雪に願い事をすると
聞いた。
陽和は窓の外の雪に願い事をした。
小さく手を合わせて目を瞑り
祈りをささげた。
そしてそのままホテルをでた。
しんしんと、降る雪に身を任せて
歩きたかった。
冬の寒さも冷たさも全部受け入れ
体を雪で包みたい。
何だか寂しくて、淋しくて
どうなってもいいような
残酷な失恋。
慶一道は会場を出る陽和を見て
(⊙ꇴ⊙)ザマァミロ、俺を騙した罰だ‼
と胸のすく思いがした。
俺が惚れていることを手玉にとって
友達を裏切らそうとした。
いいザマァだ‼
“反省しろよ‼フン‼“
俺もヤケになりジオンとひとつの
ベッドで夜を明かした。
お試し期間に入って、ずっとご無沙汰だったから、いい訳はしない。
久しぶりに燃えた、熱い夜だった。
ジオンは遊びだからと言った。
勿論俺も同じだ‼
以前の俺ならなんともない遊びだ、
しょっちゅうやってた事だ。
大したことは無い、軽いノリだった
然し胸に残るのは罪悪感
重圧感に押し潰されそうに今は苦しい。
陽和に目にものを見せてやりたかった。
その思いが背中を押した。
ジオンは慶一道に言った。
「慶一道、好きな人がいるの?」
「いや、いないよ!なぜ?」
「そう、なんか寂しそうだし
気持ちがこもって無さそうだし、」
「そんな事ないよ。」
俺はジオンを抱きしめ又キスをした。
「ほら・・・ね。」
「・・・そうね。」
朝を迎えたベッドの中で言われた。
ジオンはその日のうちに母国へと
帰って行った。
俺も部長に、代理を任せていたから
同窓会には1時間だけ出席して
会社へと帰った。
すると部長が、ホッとした顔をした。
「あ〜良かった 早かったですね。
申し訳有りませんが、今日は帰
ってもいいでしょうか?」
いっも忽然としている部長がソワソワしながらきいてきた。
娘が風邪引いたみたいで熱が高いら
らしいんです。
なんかパーティに誘われて、
パーティドレス迄新調したらしい
んですけど、
彼氏と喧嘩したかなんかで
パーティドレスに何も着ないまま
帰ったみたいで、」
「え‼雪降ってたでしょう。
へぇー、喧嘩って部長の娘だもん
ね、 気強そー‼」
「ま、まあそうかも。」
「主人に似て、慎重なとこあるのに
よっぽど好きだったん
でしょうね。」
「ふう〜ん
熱下がるといいね。
なんのパーティに行ったの?
パーティの主催者も気づか
なかったのかなぁ。
配慮が足りないよ。」
「なんか、誕生日御祝いして貰う
つもりが喧嘩になったみたいで
何を喧嘩したのやら、行ってみたら
ホテルのオープンの、御祝いだった
らしくて、そそっかしいと
ゆうか・・・」
「アハハハハ部長の娘にしては
抜けてるじゃないか!
可愛い、 」
「えー
副社長、娘には手出さないで
下さいよ。」
「アハハハハ、アハハハハ
大丈夫、部長の娘が美人とは
聞いて、知っているよ。
社内の噂だけど
でも、部長が義母になるような事
無い、無い無い‼」
「本当に娘には騙されました。
彼氏いないってずーっと言ってたん
ですよ。
妹の話じゃ、随分惚れてるとか、
仲直り出来るといいんですけど、
シッカリ者なので喧嘩の内容次第
でしょうね。 許さない事なら
許さない子なので」
「部長、今彼氏居ないって言っても
いるよー。」
慶一道は上着を脱ぎソファにポイと
置いて、ネクタイをゆるめた。
「本当、陽和って、分からない
あんまり口に出さないので
《《えっ๏д๏陽和?》》
じゃあ帰ります。
後は山岡君に話してありますので、
陽和、今日誕生日なんですよ。
ケーキ食べれるかなぁ?
あの子誕生日とクリスマスは
自分の作ったケーキじゃ無くて
誕生日のケーキは作らず
ケーキ屋さんのケーキと決め
てるんです。閉店迄ギリギリかなぁ
でも、23日もパーティするしなぁ〜
副社長、どう思います?
23日も妹の陽菜の誕生日なんで、
陽和と一緒にお友達呼んでパーティ
するんですけど、
今日の陽和の誕生日、ケーキいりますかね?
あ‼武蔵野先生にも連絡入れとか
ないと。」
部長は慌ててスマホをスクロール
「えっ‼武蔵野先生?待って‼
写真見せて 部長の娘さんの。」
「あれれ、興味わきました?」
ガサガサとバックを焦り部長は
待ち受けをみせてくれた。
「左が陽和で、右が陽菜ですよ。」
部長の待ち受けには俺の祖父の家で
生まれたダックスフンドと
それを抱く陽和と妹らしき人物がいた。
「じゃ、失礼します。」
エッ‼アッ・・・あ、あ・・・あ“エーエエツ💦💦
「あ、部長、ケーキは・・・買ったが
・・・い、いよ。
妹さんとは、生まれた日
別・・・だ、から・・さ。
ケーキ代あげるから待って、
御祝い・・・し、しなきゃね。
た、たたた、誕生日なんだから
サ、ŏ﹏ŏ。」
「いえ、いえ、私にそんな事されたら
社の全員にしなくちゃいけませんよ
お気持ちだけで充分です。」
そう言って部長はそそくさと
帰って行った。
誕生日、誕生日ケーキ、陽和の誕生日?
23日じゃ無かったのか?
陽和は嘘を付いていなかった。