浮気男のシンデレラ

御籤

神様への新年の、ご挨拶が終わると
神社の境内のお焚き上げの所まで
向かう。

モウモウと上がるオレンジ色の火は
一年中風ひかないように
病気しませんようにと背中から前
全身を火にあてる。

暖かい。
優しい温もりを感じる。
慶一道も陽和の真似をする。


慶一道がいつかして来たように
腕をクイクイ誘ってくる。
この動作は覚えている。

手を繋いだら彼は嬉しそうに聞いた、

「いいの?」

あの時とは事情が違う。
ただ純粋に「うん。」って答えた事
おぼえている。

シカトしていたら又クイクイ
仕方ないからウールのコートを
摘んだ。

「チエッ‼」

そんな声が聞こえた。

たこ焼きを買ってŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹" ŧ‹"
慶一道もŧ‹”ŧ‹” ˘༥˘ ŧ‹”ŧ‹”

「次イカ焼き」
慶一道はガブリ
口の中にイカはみるみる飲み込まれ
ていった。

口の回りにソースがヤバイ
そんな慶一道の口を、ハンカチで
ふいてあげた。

私の手にはまだ半分のイカがあった、
然し慶一道は今度は箸巻きを食べ
始めていた。

ポカーン
若い男性の食べる勢いに圧倒される

そうだ前にもこんな事があった。
.。oOあれは、あれは?

慶一道の顔が笑っているのは分かる
でも顔の真ん中がモヤがかかって
見えない。

思い出そうとするとそれを阻む
ように、ズキズキと痛んで来る。

暫くすると痛みは嘘のように消える。


パクパクと動く白い歯
「あーこの口でキスしたのか?」

なんて残念な事を思ってしまう。
慶一道の過去に思いを寄せてしまう。
あのパーアニーHOTELのジオンの
顔は、シッカリ覚えているのに
慶一道の顔はやはりモヤがかかって
見えない。

お宮の境内で私達はどう見られて
いるのだろう。

途中、御籤を引いてみる!


神社の周りの榊の木はどれもしろく
御籤でしなっていた。

陽和も引いて開いてみる、すると
折りたたまれた御籤の中から
小さな恵比寿様があらわれた。

どうやら御籤には七福神が入って
いるらしい。

「わっ‼恵比寿様。」

陽和の声に慶一道も「おっ、すげー」

自分の御籤の中から弁財天が
現れたので驚いたようだ。
小さな弁天様は小指の爪程の
大きさで慶一道の手の平に
乗って金色に光っていた。

彼はニッコリ嬉しそうに微笑むと
財布の中に弁財天をしまった。

「日和はなに?大吉?」

慶一道が頬をよせ御籤を覗いてくる。

「アハ、アレレ大凶、・∵プッ!
さすが‼ ꉂꉂᵔᗜᵔ」

と意味不明な笑い ‼

慶一道の御籤を覗くと、大吉
慶一道はニンマリと陽和を見て笑った。

クソオオオオ━━━━━━オ‼
大吉が出るまで引くぞー
御籤を引く度、慶一道が読み上げて
榊に結んでいく。

意地と根性でも9回目にやっと
キタ━━ヾ(≧∀≦)ノ━━!!
すると横から

「9回目ってのが気になる
かもー‼」

陽和も、思っていた事をズバッと
ついて来る、ほんっとムカつく


「まあまあ、怒るなよ、俺が大吉
だから、一緒に入れば陽和も大吉‼
なっ‼

アレレレお顔がプク〜ッと膨らんで
ますけど。ニヒヒ♡」

ご機嫌を取るように、慶一道は覗き
込んでくる。

「くっそぉ💥」

然し慶一道はもっとニヤニヤして
「七福神、数えてみなよ。」

「あっ‼」
「なっ‼」
最初の七福神をカウントしていなか
った。
陽和の財布には10個の七福神が笑っ
ていた。


優しい笑顔を向けてくる慶一道
陽和もなんか癒されてるのかもしれ
ない気もしてくる。

つい差し出された腕をとる。
二人で腕を組み、お守りを買った。
絡んでいた腕がとけて慶一道は手を
握って来た。
手袋の上からだったけど広くデカい
彼の掌は暖かく思えた。

二人で楽しく過ごす時間は
慶一道の着信音で終わった。

「あ‼ ちょっと待ってて‼
仕事関係だ‼」

と言いながら陽和の手をするりと、
すり抜け慶一道は、
神社の木の方へかけて行った。



ポッン

賑やかな境内の中に陽和は
置いてけぼり・・・


暫く待って、慶一道を探しに彼が
走った方へと歩いていく。

陽和は遠くに見える慶一道をみつけた。
正月、真夜中に仕事関係?

“まあ、そうっちゃそうかな。“

電話の相手はリ.ジオン、
あんなにニコニコ、モジモジ話す
相手は彼女しか思いつかない。

暫く又待って見る
プレゼントを返す決心もシッカリ
ついた、返すのは悪いかな・・・なんて
仏心も、飛んで行った。

然し、待つのも馬鹿らしくなった。
クルリと向きを変え雅楽の音色を
聞きながら参道へと足を進めた。

鳥居のところを抜ける時
はああぁぁ💨と白い息を吐きながら
今年こそ、アンニャロと縁が切れ
ますようにと、パンパンと
柏手をうち神様に祈った。


さぞや、縁結びの神様も
困惑した事だろう。






ジオンは、楽しい話をしていたから
なかなか電話を切れなかった。

気は焦るが、邪険には出来ない。
バタバタと陽和を置いた場所へと
走り着くが彼女の姿は無い。


「モシモシ、今どこ?」

「なんで?」
焦った慶一道の声に冷たく答える。

「何でって、居ないからだよ。」
慶一道の焦った声が響く。

「もうすぐ家に着くよ。」

「すぐ追いかけるから待って‼」

「はぁ、こんな夜中待てって何?」

「なんで帰るんだ?電話してたん
だから、待っていてくれても
良かっただろう。」

「来年の正月は、リ.ジオンのいる
シンガポール迄行けば
¯ ⌳¯ )チッめっちゃ迷惑。
もう連絡してくんな!ブチッ」
ガチギリ
ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ
陽和の携帯はずっと震えていた。

《《だから、あんたと初詣は》》
《《二度と行かん‼》》
ブチッ!
ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ

Wwwせっかく仲直り出来たと思った
のに、慶一道は気落ちしていた。

モテ男で、チャラくても今までの
女は何をしても許してくれていた。

最後には必ず陽和も許してくれると
思っていたのかもしれない。

だからジオンと一線を超えても
何でも無いと思っていた。
大人の遊びだ
大したことは無い‼

ジオンも遊び、そう言っていた。
大人の遊びよって・・




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