外が薄暗くも薄ら明るくも言えるような色に変わる。
全身真っ黒く、埃のかぶった服に身を包む。
何故か音のしないように扉を閉めた。
隣部屋の目覚ましの音が頭の中に残っている。
履き古したこれまた黒いサンダルの音がやはり響く。
鳥の鳴き声はいつも通り聞こえる。
教会の鶏は女性の叫び声にも聞こえる。
助けて。助けて。
そう言っているように思う。
後ろからしっかりとした格好をした高校生に自転車で抜かされた。
落ちた紫色の木の実を踏み潰し、
僕の歩いた跡が残る。
コンビニでMサイズの珈琲を頼んだ。
夜通し働いていた店員の
「ありがとうございました。」
にそれより覇気もなく同じ言葉を返す。
同じ言葉なのに全然違うように見えた。
空は霞がかった薄い青色に夕方とは違う紅が少し。
犬の散歩をする女性に
「おはようございます。」
と挨拶をする。
「学生さん?」
という問いに「はい、そうです。」
と嘘をついた。
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