1日遅れの、おまけ。


11月12日、月曜日。

今日は今にも雨が降りだしそうな、あいにくの曇り空だ。

サブバッグに入った包みにドキドキも詰め込んで、ようやく慣れてきた冬用のセーラー服で身を包んで家を出た。


なんとか雨に降られることなく、高校に到着した。
教室の自分の席に着いたちょうどそのとき、バスケ部の朝練組が教室に入ってきた。
うちのクラスのバスケ部のメンツは目立つ男子ばかりで、その中には高岡もいる。

すぐに、クラスの中心とも言えるかわいい女子たちに囲まれ、楽しそうに話し始めた。
あたしはそんな光景を窓際からひっそりとチラ見するだけ。

日が当たる場所があるからこそ、影ができる。
卑屈っぽく聞こえるかもしれないけれど、あたしの人生はこんなものだと思っているし、ほんの少しでも高岡と関われているという奇跡だけで満足すべきなんだと思う。

普段も授業中や休み時間に高岡と関わることはほとんどなく、あったとしてもグループを組んで授業するときくらい。
これが日常であり、現実なのだ。

それに……あ、まただ……。

高岡の制服を掴む女子の姿が視界に入る。
高岡に触れることを許されているのはひとりの女子だけ。

高岡に彼女がいないことは有名なことだけれど、あの子だけが高岡に触れることに彼自身の許しがあるのか、女子同士の協定があるのかはあたしには知るよしもない。

でもやっぱり、好きな人に女子が触れているところを見るのは胸が痛む。

高岡はやっぱり、あの子のことが好きなのかな……。
女のあたしから見てもすっごくかわいいし、頭も性格もいいもんね……。

ふたりはすごくお似合いだ。

はぁ、と息をついて、ついに泣き出してしまった空を見つめた。

今日も例に漏れず、手の届かない存在の高岡とは話すことなく、1日が過ぎていった。
 
< 3 / 11 >

この作品をシェア

pagetop