1日遅れの、おまけ。
 
今日のおやつは何を隠そう、ポッキーだ。

「はいっ、高岡、あーんして!」

「おっ」

「1ポッキー、2ポッキー、3ポッキー、4ポッキー! ねっ、おいしい?」

次々と高岡の口にポッキーを放り込んでいくあたしに対して、高岡は慌てたように口からこぼれ落ちそうになるポッキーを捕まえる。

「バカか! さすがの俺でも、そんなに一気に食べられないって!」

「腹へったって言うからたくさん恵んであげたのに、注文多いなぁ」

「限度を考えろよ。ほんと仕方ないやつ」

そんなことを言いながらもおかしそうに笑って「ありがとなっ」と言ってくれる。
こういうところもすごく好き。

高岡はポッキーをかじりながら、すぐそばの机に置かれた編みぐるみに視線を落とす。

「今日は何作ってんの?」

「エリマキトカゲ。かわいいでしょ?」

「その感性はよくわかんねえけど、ほんと美波って器用だよな」

「誉めて伸びるタイプだから、もっと誉めて!」

「ハイハイ。すごいすごい」

呆れながらも笑って誉めてくれる高岡の言葉に、天にも昇る気持ちになる。

高岡は本当に優しい。
だから、実際はただの友達でしかないのに、あたしは調子に乗ってしまうんだ。

「んー、やっぱ普通のポッキーが一番うまいよな」

「あっ、高岡もそう思う? イチゴチョコとか冬限定のやつもおいしいけど、やっぱこの赤パッケージに落ち着くんだよねえ」

「うん、わかる」

高岡はあたしから受け取ったポッキーを話している間にあっという間に平らげてしまい、「もう1本ちょうだい」と手を伸ばしてくる。
私はようやく1本食べ終わるというところで、そばにあるサブバッグに意識を寄せた。

……今がチャンスじゃない? 勇気を出せ、あたし。さらっと渡せばいいんだから。今を逃したら、いつまで経っても渡せない!
 
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