ハロウィン

今日はハロウィン
ハロウィンなんて、私には関係ない。
なぜなら、日本人だからだ。



10月31日


コンコンとドアをノックする音


夜分遅く訪ねてくるなんてあの人しかいない。



ガチャ…



ドアを開けた瞬間見えたのは…


黒い三角帽子を被り、ジャックオーランタンを手に持った彼だった。


「Trick or Treat!!」



笑顔でそう言った彼



「その格好で来たんですか?」

「ハロウィンだし」

「いい年して恥ずかしいことしないで下さい!」

「…そんなことより」


上がっていい、とも言ってないのに上がり込んだ彼



「Trick or Treat!!お菓子をくれなきゃ、悪戯するよ?」


ニヤリ、と怪しい笑みを浮かべて歩み寄る。


あっという間に壁に追いやられてしまった。


「淳也さん…」


ちゅ、と一瞬唇を重ねてきたと思うと、何度も角度を変えてキスをしてくる。


「んっ、まっ、苦し…!」



私の抗議なんて耳も傾けない。



「い、いきなりなんなんですか…!?」

「悪戯。お菓子くれないと、もっと凄い悪戯するよ?」

「お、お菓子あげますから!」

「ほんと?」


というか、悪戯ってこういうことじゃないでしょ…


「じゃあ、お菓子取ってきます」


部屋の奥からいくつかお菓子を持ってきた。


「はい、どうぞ」

「…」


なんで黙るの。


「…お菓子ってこれ?」

「なにか文句ありますか?」

「俺が言ってるお菓子はこれじゃない」


その内の一つ、チョコレートを取ると、ビリビリと包みを破いた。


中身を出すと、一粒口に入れた。


なんだかんだ、食べてるじゃない…か…!?


「っ、ン…!」


突然キスをしてきたかと思うと、彼の舌が侵入してきて


チョコの甘さが口の中に広がる。


「俺にとってのお菓子は、見た目と違って実は甘くて、美味しくて、柔らかい、どんなお菓子よりも魅力的なもの…





そんなの、可菜以外ないでしょ?」


なんて、セリフを吐いた。


「は?」

「…て事で、頂きます」


そのまま、押し倒された。


食べれるのは私なわけ!?


「私はお菓子なんかじゃない!」

「知ってる」






まんまとハメられた私は、


彼が来ても二度とドアを開けないことに決めた。


Trick or Treat?

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