愛というもの~哀しみの中で~
「そんなことないよ。私、茉莉ちゃんの働きっぷりに惚れて仲良くなりたかったのよ。これから仲良くしてね。」

由実ちゃんも目に涙が浮かんできていた。
もしかすると大吾を失ってしまうかもしれない。本当にそれは私にとって怖いことだけど、由実ちゃんがいてくれたら心強いなって思う。

私は由実ちゃんの言うとおりにお風呂に先に入らせてもらった。
お風呂もうちとは違って広くて暖かかった。
でも何だか落ち着かなくて急いで全身を洗い、上がった。
ドライヤーも置いててくれたから髪を乾かしていたら由実ちゃんの怒鳴り声が聞こえてきた。
私はびっくりして洗面所から顔を出すと、うまく聞き取れなかったけど電話で誰かと喧嘩しているようだった。

「ふざけないでよ。・・・・・・・少しは頭を冷やして。」

今まで見たことない由実ちゃんの怒った顔が怖くてびっくりした。
電話を切ってふと、私と目が合った。
気まずいと思いそろっと洗面所へ後ずさりをすると、由実ちゃんが追いかけてきた。

「驚かしてごめんね。大丈夫だから、お風呂温まった?もうご飯出来るから乾かしたらこっちおいでよ。」

慌てた様子でそう言うと私の返事を聞かずにキッチンへ戻って行った。
そんな由実ちゃんが可愛くて笑ってしまった。
こんなに気分が沈んでたのに、笑ってる自分に驚いた。
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