愛というもの～哀しみの中で～
髪を乾かして部屋へ行くと、いい匂いがしていた。
親子丼と、豆腐と揚げの味噌汁だった。
親子丼なんていつぶりだろう？

「すごい！親子丼作れるなんて。後から作り方教えて。」

つい大吾に作ってあげようと思ってしまい、言ってすぐに落ち込む。

「レシピ書いてあげるね。料理は自分を磨くためにするんだから、お互い頑張ろうね。」

由実ちゃんは落ち込んでる私に気づいて励ましてくれた。
親子丼はすごく美味しくて食欲ないと思っていたのに全部食べられた。
それから私がお皿洗いをしている間に由実ちゃんもお風呂に入った。

「私がお風呂に入ってる間に誰か来ても絶対に開けちゃダメだよ。誰でもだよ。」

って念を押してお風呂へ行った。
さっき喧嘩してた人かな？ちょっとビクビクしながらお皿を洗ったけど誰も訪ねては来なかった。

そしてお皿を洗い終わって一人で部屋で座っていると無意識に大吾のことを考えていた。
楽しかったことや、優しくしてもらったことを思い出しては涙が溢れてきた。
そう言えば、昨日お風呂に入った時にネックレスを取ってからつけずに洗面所に置いて来ちゃったな。
私なんかがつけちゃいけない気がしてつけることが出来なかった…。
今ごろ大吾はまたあの女の子の家にいるのかな？そう考えては胸が締め付けられるように痛んだ。
< 120 / 350 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop