愛というもの~哀しみの中で~
「そんな前から…。寒いのに・・・」

「茉莉ちゃんだってご飯も食べないでフラフラだったのに。少しくらい心配させてもいいのよ。でもね、きっと私の勘だけど大吾くんのこと信じていいんじゃないかな?」

そう言うと、ずっとバイブがなっていた携帯に出た。

「うるさいっ。今日は無理って言ってるじゃない。………しつこい。わかったわよ。明日、バイト一緒にあがるからこの前のファミレスね。おごりだから。」

きっと昌くんと電話してるのかな?明日…
由実ちゃんの声を聞きながらぼーっと考えていると目の前に携帯を差し出される。
驚いて由実ちゃんの顔をみると、笑顔で頷かれた。
恐る恐る携帯をうけとると、耳に当てた。昌くん、怒ってるのかな?

「もしもし…」

『茉莉、ごめん、俺………茉莉だけだから…明日会いに行くから、仕事早く終わらせて行くから、絶対に待ってて。』

「うっっ」

「うん」って言いたいのに喉が締まって声が出ずに、涙だけが溢れた。

『ずずっ、茉莉っ……』

『茉莉ちゃんこいつのこと信じてやってな。こいつに代わって本当にごめん。俺も悪いんだ。じゃあ、由実は信用できそうだからもう帰るな。また明日。』

泣いているだろう大吾に代わって昌くんが出てそう言うと電話は切れた。

「由実ちゃん、ありがとう。今日は帰るって。」

私は携帯を由実ちゃんに返した。
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