愛というもの~哀しみの中で~
「大吾?」

私は大吾の腕に手を当てて腕を緩めようとするけど、びくともしなかった。

「茉莉、ごめん。本当にごめんなさい…俺、茉莉がいないと生きていけない。」

大吾は私の肩に顔をうずめたままぼそぼそと言う。

「こいつずっとこればっかだよ。茉莉ちゃんはそんなことしないだろうから代わりに一発殴っておいたから。」

由実ちゃんの隣に座った昌くんがそんなこというからびっくりした。

「えっ?そんな…。」

「昌くんナイス!そのくらいされて当然!それで?ちゃんと説明して。」

由実ちゃんも大吾に冷たく言う。
大吾は私の肩に顔をうずめたまま頷いた。

「あの日、茉莉が昼過ぎまでバイトだったから、昌に相手してって電話したんだ。」

「俺さ、最近彼女と別れたばっかりで、女友達と俺を慰める会とか言って昼間からカラオケで酒飲んでたんだ。まぁ、ぶっちゃけ気軽にやれれば良かったからチャラい子たちばっかで…」

「気軽にって…最低!呆れる。」

「お前に関係ないだろ。今は俺の話じゃないんだよ。」

話の途中で由実ちゃんと昌くんが口論を始めた。

「俺もさ、茉莉と会う前はそんなことばっかやってたんだ…。でも俺は別に時間さえ潰せたら良くて、昌たちと合流してカラオケだけのつもりだったんだけど…」

私にだけ聞こえる声で話始めた。
私はどんな話をされるのかドキドキと心臓が速くなる。
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