愛というもの~哀しみの中で~
そう言うともう夜も遅いからって芹沢さんは帰った。
部屋に一人になると今まで感じたことがない淋しさが襲ってきた。
一人暮らし始めた日ですら開放感があってそんなに淋しくなかった。
無理やりされた日も自分の家にに帰ってくると恐怖心と、一人になれた安心感があった。
私は自分で自分の心がわからなかった。芹沢さんにもっと一緒にいてほしかった?
そういえば、身体は好き勝手触られたけどキスはさっき芹沢さんとしたのが初めてだ。
それに気づいたら何か胸から正体不明の感情がこみ上げてきて声を出して泣いた。

次の日の朝、目が覚めると私はテーブルに突っ伏して座ったまま寝ていた。
あのまま、泣きながら寝てしまっていたようで酷く足がしびれていた。
洗面所で鏡を見ると目がパンパンに腫れている。
今日はお弁当のおかずを詰めるバイトの日でほとんど顔の見えない格好だ。
その後はチラシを配るバイトだけなのでとりあえず目の腫れに気づく人もいないだろう。
お弁当のバイトの日は朝6時半からなので慌ててシャワーを浴びて自転車で急いで向かった。
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