愛というもの~哀しみの中で~
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それから、由実ちゃんは『このことは二人で話し合うのが一番!』と私を家に送り届けると帰って行った。

部屋に一人になると悪い方向にしか考えがいかなかった…
自分のお腹に赤ちゃんがいるかもしれないことが実感出来なかったし、大吾と正式に結婚とかも実感出来なかった。
そもそも本当に大吾は私と結婚するつもりなのだろうか?と考えて落ち込んだ…。

考え込んでいると大吾が帰ってきた。

「ただいまぁ~。茉莉、会いたかったよ。」

そう言って私の横に来てほっぺにチュッてキスをする。
これは毎日の日課だ。

「おかえりなさい。」

「ん?元気ないけどちゃんとご飯食べた?今日は由実ちゃんと一緒だっただろ?」

そう言いながら大吾はテーブルの上を見ていた。
しまった…さっき由実ちゃんと買ってきた検査薬が入った紙袋を置きっぱなしにしていた。

「ドラッグストア行ったの?薬?どっか悪いのか?」

そう言って私の返事を聞かずに紙袋を開ける。

「待って、見ちゃダメ!」

そう言ったのと同時に手には紙袋から取り出された検査薬があった。
大吾は私の顔を驚いて見たあと、手元へ視線を向けた。

「…っえ?茉莉、もしかして…?」

大吾は驚いた顔のまままた私の顔を見た。
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