愛というもの~哀しみの中で~
大吾の顔は少し納得してない様子で、引っかかった。

「とりあえず病院行ってから今後のことは決めるとして、職場には明日伝えろよ。もう茉莉ひとりの体じゃないんだから。」

「フフッ、そのセリフ、テレビっぽい。私が言われるなんて。わかった。」

「笑い事じゃないぞ。気を付けないと。」

それから大吾は何事にも私の行動を心配して、家事もできる範囲で大吾がしてくれた。
仕事内容も体に負担がってすごく心配しており口に出してはっきりとは言わなかったけど辞めてほしそうだった。
私は日に日に食欲が落ち、吐き気が強くなり時には吐くようになってきてとりあえず仕事は夜勤を外された。
夜は大吾が学校の時は帰ってくるまで由実ちゃんがついていてくれた。
昌くんも心配してくれて学校からまず私たちの家に帰ってきて私の様子を見て由実ちゃんと帰っていく日々が続いていた。

「なんだかこんなに弱い自分が悲しくなる。」

つい、由実ちゃんと二人でいるときに愚痴ってしまう。

「弱いんじゃないから心配しないで。人間を体の中で育てるってことはそれだけ大変なんだよ。」

「うん…でも前出産した職場の先輩はこんなにつわりも強くなかったし、もっと働けてたよ。」

「それは体質みたいだし、妊娠のたびにつわりの症状も違うって人もいるし、受け入れるしかないよ。ただ、倒れないように少しずつでも栄養も水分もとらないと。」

「わかってるんだけど、口に入れると吐いちゃうから…でも赤ちゃんのためにもたべないとなぁ。」

「いいなぁ。私もはやく赤ちゃん欲しい!」
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