愛というもの~哀しみの中で~
それからは結局仕事復帰できないまま産休に入った。
私はなかなかお腹が目立たずに本当に赤ちゃんが大きくなっているのかが心配だった。
由実ちゃんは目に見えてお腹が大きくなっていっているのがわかった。

「由実は食いすぎなんだよ。体重増えすぎッていつも言われてるもんな。」

って昌くんはうれしそうに言っていた。
臨月も近くなると由実ちゃんと一緒に赤ちゃんを迎える準備でいろんなものを買いに行った。
時に、由実ちゃんのお母さんも一緒で仲間に入れてもらえて、娘のように接してくれるのがうれしかった。
二人とも赤ちゃんは男の子みたいで、男女別なら結婚させたかったねぇなんて勝手に将来まで考えていた。子供にとってはいい迷惑だ。

そして出産の日は思ったよりも早くて突然やってきた。
クリスマス前で私はフライドチキンのかわりにから揚げを作ろうと買い物に出ている時だった。
突然じわっと下着の濡れる感触がして、じわじわと生暖かいものが太ももを伝って流れ出てきた。
破水だ!どうしよう…
私は雑誌なんかで破水から始まるお産についてなども読んでいたけど、まさか自分がそうなるなんて想像もしてなかったし予定日よりも遅くなると思いこんでいたからパニックになった。

よりによって今日は一人で買い物に来てしまった…
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