愛というもの~哀しみの中で~
「あっ!茉莉ちゃん大変だったね~!お腹痛い?」

私よりも大きなお腹を抱えた由実ちゃんが心配そうに横に来てくれた。

「ううん、ありがとう。由実ちゃんのお母さんに抱きしめてもらえて安心しちゃった。」

「良かった、お母さんが一番早く駆けつけられそうだったから。大吾くんは仕事終わったら学校休んで来るって連絡あったよ!なぜか昌まで休むって…」

「そっか…昌くんにまで…きっと大吾がまた取り乱してないといいけど…」

そう言うと由実ちゃんとお母さんは笑っていた。
今のところは陣痛は来てなくて赤ちゃんも動いているのは感じられていた。

夕方、仕事を終わらせてタクシーで帰って来た大吾は慌てて病室に入ってきた。
後から昌くんが入ってくると、病室は仄かに焚き火の匂いが充満した。

「茉莉、大丈夫か?痛い?」

「プッ、フフフッ、大丈夫だよ。まだ陣痛はきてなくて破水して24時間以内にこなければ促進剤を使用しましょうって。もし陣痛がきたら病院から大吾に電話してもらえるらしいよ。」

「あぁ、よかった。」

そう言って私を優しく抱きしめた。

「破水って本当にあり得るんだな。びっくりしたよ。じゃあ明日は大吾は仕事休みだな。社長に言っておくよ。」

「昌くんまで学校休ませてごめんね。大吾を一人にできなかったんでしょ…。」

私が困った顔をして昌くんに言うと、大吾がガバッと顔を上げた。

「違うぞ茉莉、こいつが勝手に来たんだよ。」

そう言って昌くんを指さす。
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