愛というもの~哀しみの中で~
「ハハハッ、まぁ、俺も落ち着かなくて勉強どころじゃなかったからな。ところで、由実は?」

「そうだっ!由実ちゃんとお母さんで買い物に行ってくれてるの。大吾と昌くんのご飯もいるだろうからって。」

「げっ、お義母さんもいるのか。」

あからさまに昌くんは嫌そうな顔をした。

「ハハハッ、昌はお義母さんに頭あがらないもんな。学校さぼったの怒られるぞ。」

「うるせぇ。」

それから間もなくして二人は買い物から帰ってきてみんなでお弁当を広げて食べた。
私は食事が出たけどあまり入らなくて、栄養補給ゼリーを買ってきてくれており一緒に食べた。
産婦人科は完全個室だったけどやはり女性のみの病棟なので面会時間はきびしくて、20時にはみんな帰って行った。
一人になると途端に淋しくなった。大吾からはちょくちょくメールが来たけどやはり会えないのは淋しい…。

きちんと眠れずにウトウトしては目が覚めるのを繰り返していた。
だんだんと目が覚める頻度が速くなってきており、お腹が張るタイミングで目が覚めていることに気づく。
看護師さんは定期的に見に来てくれておりそのことを話すと、モニターでもそれがわかっていたらしく、陣痛がくる前兆だろうとのことだった。
そのお腹の張りは少しずつ痛みのような感覚が伴うようになってきた。でも、陣痛について雑誌で読んだら腰をハンマーで砕かれているような感じって書いてありまだまだ陣痛ではないだろうと横になって一人で耐えていた。
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