愛というもの~哀しみの中で~
いつの間にかモニターは外されており、午前4時頃には病衣の上に着ていた上着を脱いでも汗をかくほどに痛みを我慢するときに体に力が入るようになっていた。
でもハンマーで砕かれるほどじゃないし…。
そう思ってひとりでベッドの下に足を下ろして痛みが来るとぐーっと我慢し、痛みが去っていくとふーっとベッドの備え付けの机にもたれかかっていた。
看護師さんがワゴンを持ってきて入ってくると、内診をしたいから仰向けに寝てほしいと言われる。
内診をすると指10本分骨盤が開いているといわれた。それが何を意味するのかわからなかったけどきっと赤ちゃんが産まれるために開いているのだろうというのは分かった。
体ってすごい。そうやって自分で出産の準備をするなんて。
そうやって過ごしていると、15分ほどで先生が来てもう一度内診をしてもらいもう赤ちゃんの頭が見えているらしく車いすで分娩室に移動した。
移動してすぐに大吾も入ってきた。

「茉莉、大丈夫?もう産まれるって。」

そういうとお腹をさすりながら赤ちゃんにも「元気に産まれて来いよ~」って話しかけていた。

「お母さん我慢強いから今まで一人で耐えてたのよねぇ。ご主人が来てくれてよかったわね。」

って看護師さんが声をかけてくれる。
私としてはもっと痛いと思っていたからこれが陣痛かぁと改めて痛みを感じていた。
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