愛というもの~哀しみの中で~
ふと、私のお母さんはどうだったのだろうと思った。
自然分娩だったのかな?帝王切開だったのかな?どちらにしても子供を産むって痛みが伴って大変なのに。入院期間中しか一緒にいなかったって聞いたことがあり、なんで痛みに耐えてまで私を産んだのかな?
妊娠期間中もいろいろと大変なことばかりなのに…。
今まで考えたこともなかったのになぜか今このタイミングで自分の母親について考えた。

「茉莉?大丈夫?」

大吾は心配そうに私の顔を見てタオルで汗を拭いてくれていた。
私は出産というすごいことに立ち向かっているのに頭はすごく冷静だった。
先生の合図でいきんで、力を抜くをしばらく繰り返す。

「もう力を入れたらダメだよぉ。」

といわれ、必死でいきまないようにしていたら、ドゥルンと何かが外に出た感覚があった。

「おめでとうございます。男の子ですよ。時間は…8時25分ね。」

そう言って血まみれの赤ちゃんを股の間から見せてくれた。
産まれたんだ!ずっと私のお腹にいたのに。
大吾がへその緒を切るって言っていて許可をもらっていたけどいざ切るとなると怖がっていて看護師さんに励まされてようやく切っていた。

「赤ちゃんはへその緒切ってもいたくないんですよね?」

って何度も確認しており、看護師さんや先生に笑われていた。
そんな大吾を見て私は言い表せない感情で胸がいっぱいになり涙が溢れた。
それから赤ちゃんは体を拭いてもらうと一度私のお腹の上に乗せられておっぱいを吸わせた。
産まれたばかりでなかなか吸ってくれなくて、そんな姿もかわいかった。
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