愛というもの~哀しみの中で~
それから入院生活はいろいろと大変だった。
おっぱいを吸わせてミルクをあげて、定期的におっぱいマッサージを受けたり、悪露交換だったり、沐浴指導、おむつ交換。
仕事でおむつ交換は慣れていると思っていたけど大人と子供は全然違って難しかった。

ギリギリ年越しは自宅で迎えることができた。
でも自宅に帰ると看護師さんも助産師さんもいないから不安だった。
頼れる親もいないし、自分がしていることが本当に正しいのか、こんなにミルクを飲ませていいのかとかいろいろと悩みは尽きなかった。
でも大吾も家にいるとずっと抱っこしてくれてて沐浴も、おむつ交換もしてくれるので本当に幸せだった。
名前は、『恭吾』と名付けた。人に敬意をもって接することができる人にという意味で恭をつけ、大吾の吾をもらった。
無礼な人間にだけはなってほしくなく、以前からいろいろと調べておりようやく名前を付けた。

「恭吾、恭吾、」

って家にいるといつも大吾は名前を呼んでいた。
だんだんと視点が合うようになってきた恭吾は大吾の顔をじーっと見つめている。
自分の子供ってこんなにかわいいもんなんだ。心のどこかで私も子供を愛せない人間なのではと思っていたからかわいいと思えている自分に安心した。
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