愛というもの~哀しみの中で~
「パパ?パパじゃないのに…変身したの?」

死という意味がまだ理解出来ない恭吾は大吾と同じ声がする男性をパパだと思っているようだった。
それがまた哀しくて涙が溢れる。
力いっぱい恭吾を抱きしめ、嗚咽を漏らしながら泣いた。
声を聞きつけて隣の部屋で休んでいた昌くんが入ってきた。

「あらっ?真さん?久しぶりっす。まさかこんな形で会うなんて…」

昌くんの目には涙が滲んでいた。

「昌、久しぶりだな。連絡ありがとう。大吾が世話になったな。」

「いえっ、こんな事になってしまって…あっ、こちらが大吾の奥さんの茉莉ちゃんと、子どもの恭吾、3才です。」

「そうですか…茉莉さん。改めて、兄の真です。もっと早く、こんな形じゃなく会いたかったですね。」

坦々と話すその人は大吾と声が似ており、目元もそっくりだけど雰囲気は大吾と正反対だった。
挨拶をしようとしたとき、また何人かの走ってくる足音がした。
そして扉が勢いよく開き、駆け寄ってきた。
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