愛というもの~哀しみの中で~
「おばさんっ!違いますよ。茉莉ちゃんと大吾は本当に幸せそうだったんです!ひねくれて尖ってたアイツが茉莉ちゃんと会って変わったんです。自分が守るって仕事も真面目に頑張って、資格も取ったんすよ!恭吾が生まれてから特に頑張ってました。マジでっ。」

昌くんは涙を流しながら反論してくれた。
そんな昌くんの言葉を聞いて私は更に涙が止まらなかった。

「うっ、うぇぇ~。大吾ぉ~。」

私は我慢できず声を上げて泣いた。
事態が理解できていない恭吾も不安だろうに、私にしがみついていた。

「母さん、大吾がこんな事になって遣りきれない気持ちはわかるけど茉莉さんに当たるのは筋違いだ。今一番混乱しているのは茉莉さんだよ。」

「そうだよ、お前はもっと考えて物を言いなさい。本当にすまない。何せ大吾が18で家出して何の音沙汰もなく訃報の連絡とは…親不孝者めっ。茉莉さんとおっしゃるんですね。あなたと幸せに暮らしていたようで安心しました。どんだけ酷い暮らしをしているのかと考えていたものですから…家族をつくって、真面目に働いていたとは…」

お義父さの目には涙が滲んでいた。
その横でお義母さんはただ声を殺して泣いていた。
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