愛というもの~哀しみの中で~
憧れていた両親。いつか資格を取って胸を張って帰れるときがきたら一緒に帰ろうって約束してたのに…。

「茉莉さんもお疲れでしょう。ここは両親に任せて少し休んだ方がいい。酷い顔色だ。」

そうお義兄さんは言うと私の腕を掴み無理やり立ち上がらせた。
きっと今はお義母さんと一緒にいない方がいいんだろう。
そして義両親にとってお別れの場に私が居ることを良くは思えないのかもしれない。

「真さん、俺が付いてますんでここに居てもらって大丈夫っすよ。ねっ、茉莉ちゃん、少し休もう。」

昌くんがそう言うと私の背中に手を当て隣の座敷の部屋へと促す。
恭吾は顔を上げずに必死に私にしがみついていた。私が守らなきゃ。大吾の死を知ってから初めて先の事を考えた瞬間だった。

「俺も行くよ。きっと大吾は俺がそばにいない方がいいだろうから。」

えっ?何でだろう?
ふと疑問に思ったけど、冷静に考えられるはずもなく聞き過ごし、義両親を残し私たちは部屋を出た。
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