愛というもの~哀しみの中で~
昌くんはフラフラな私を抱き寄せ力いっぱい抱きしめた。

「これからは俺が守るから。大吾の代わりにっ…だから茉莉ちゃんも俺を…兄貴だと思ってっ、グスッ頼って…由実もいるから。」

泣きながら昌くんはそう言うと声を殺して泣いていた。
私も昌くんにの肩でまた泣いた。
泣いても泣いても涙が尽きなかった。

「あっ、昌くんと、茉、莉、さん?」

呼ばれた方を見るとお義母さんが立っていた。
私は昌くんから離れてお義母さんの方を向く。

「あ、あの…」

「おばさん…座敷で大吾の写真を見ない?今真さんに見せてたんだ。本当に茉莉ちゃんと会ってあいつ変わったんだ…」

「えっ、えぇ…茉莉さんって言ったわね。さっきはごめんなさい。あなたのせいじゃないのに…じゃあお手洗いを済ませたらそちらに行くわ。」

お義母さんの目からも涙が流れ出ていた。その目は少し大吾に似ている。
私は声を出すことが出来ず、昌くんに背中を押されて座敷へと戻った。

「ママ、パパは?ねんねしてる?」

恭吾はパパは寝てると思っている。

「うん、そうだよ。もう起きれなくなったのよ。うっ、うぅっ」

私は恭吾を抱きしめてそれ以上説明してあげることができなかった。
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