愛というもの~哀しみの中で~
義両親は家に来ると驚いていた。

「大吾がこんなにきちんとした生活を送っていたなんて。部屋を見て安心しました。本当にどこで何をしているのかと思っていたからね。」

お義父さんがそう言って部屋を見渡していた。

「茉莉さん、あなた、昨日までは着物を着ていたからわからなかったけどずいぶんと細いじゃない。大吾のことで食欲がないのはわかるけれど蓄えがないんだから無理にでも食べないと。恭吾のことも抱っこしてあげられないんじゃない?」

とお義母さんは私の体の心配をしてくれていた。
昨日はお義母さんだってほとんど食べていなかったのに。
まず家では私と出会ってからの大吾の写真しかなかったけど、前の家から撮りためた写真を見てもらったり、恭吾が産まれてからはビデオカメラでビデオを撮っていて大吾はあまり映ってなかったけど見てもらったりと一日一緒に過ごした。
恭吾は相変わらず真さんにべったりで、眠たくなると私の膝に来てぐずった。
眠ってしまうとやはり何か感じているのだろう、『パパ、パパ』って泣いていた。

「茉莉さん、大吾の遺骨なんだけど…うちのお墓に入れてもいいだろうか?」

お墓…。このままずっと遺骨を家に置いてはおけないんだ。

「大丈夫、そんなに遠くじゃないし大吾にとっては生まれ育った町だから。」

真さんは穏やかな顔で私にそういった。
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