愛というもの~哀しみの中で~
「何言ってるのよ!独り占めじゃないよ!大吾くんが、茉莉ちゃんがいいって自分の意思で選んだの。そばで見てた私たちが証人よ。」

私はまた由実ちゃんに抱きついて泣いた。
いつからいたのか、気づけば寝室の入り口に昌くんと真さんがいた。

「しばらくは由実がここで一緒にいるから。ごめんけど、由彰のことをよろしくな。由実もこのお腹じゃひとりで相手するのも大変だから助かる。」

「茉莉さん、今日は帰るよ。俺もしばらく休みをもらったから顔を出させてもらうよ。ゆっくり話をしていこう。」

真さんがそう言うと、昌くんが玄関まで見送ってくれているようで玄関から話声が聞こえていた。

「お風呂沸かそうか?疲れたでしょう?ゆっくり入るといいよ。」

由実ちゃんは立ち上がってお風呂場へ行こうとする。

「私するわ。ありがとう。由実ちゃんの顔見て安心した。助けてくれてありがとう。」

そう言って急いでお風呂場へお風呂の準備をしに行った。
由彰くんを抱っこした昌くんが玄関から戻ってきて一緒にお風呂場までついてきた。

「茉莉ちゃん、俺がするよ。少し休んで。今、お墓のこと聞いた。芹沢のお墓は近いからいつでも会いに行けるし大吾も淋しくないんじゃないかな?」

「…うん、ありがとう。私わからなくて…私が決めていいのかも。」

「いいんだよ。茉莉ちゃんが決めてやってよ。大吾は茉莉ちゃんには甘えてただろ?喜ぶよ。」
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