愛というもの~哀しみの中で~
「何が食べたい?恭吾だけじゃなくて茉莉さんもご飯たべてないだろ?少し見ない間に更に細くなってる気がする。」

「そんなことはないんですけど…真さんは何が作れるんですか?」

そう聞いてみると少し目を見開いてこちらを振り返った。

「名前、初めて呼ばれた。覚えてたんだ。」

「あっ、すみません…。昌くんがそう呼んでたから。芹沢さんだと一応私も芹沢なので…。」

「ハハッ、いいんだよ。ただ驚いただけだから。そう呼んで。俺も茉莉さんって呼んでるし。」

「はい。」

そんな話をしていて自分の顔が笑っていることに気が付いた。
そんな私の顔を見て恭吾も久しぶりに笑って私に『抱っこ』って両手を前に出して近づいてきた。
そっか、恭吾も淋しくて不安だったんだよね。
私はうれしくて恭吾を抱き上げるとぎゅーって抱きしめた。

真さんは材料がないのもあって、野菜炒めとお味噌汁を作ってくれて3人で食べた。
夜は恭吾がどうしても離れずに、真さんが寝かしつけをしてくれてていつの間にか一緒にベッドで寝ていた。
私はどうしようか迷ってリビングのソファで横になっていた。

『茉莉、茉莉、』

「大吾!」

ハッと目が覚めた。
大吾…
私は名前を呼ばれた気がして起きあがると横に困った顔をした真さんがいた。

「ごめん、茉莉さん。迷ったけど、こんな所で寝ると風邪ひくから。ベッド使って。」

私は動悸が治まらなかった。
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