愛というもの~哀しみの中で~
「恭吾はお着替えしないとね。先にお手洗い使われてください。恭吾は着替えたらすこしトイレに座るので。」

「へぇ、恭吾はトイレにも座るのか。こんなに小さいのにすごいな。」

そういって頭を撫でられてうれしそうに笑っていた。

「しーも、うーもする。まこしゃんもいく?」

「ハハハッ、まこしゃんか。お着換えしたら一緒に行こうか。」

こんなにご機嫌な恭吾は久しぶりだった。やっぱりパパがいないことが淋しかったんだ。
考えたらわかるのに私っていつも自分のことばかり…。

恭吾を着替えさせるとトイレに座り、トイレトレーニングの歌を歌ってみせていた。

「歌もうまいな。天才じゃないか。」

真さんはもしかするとおじバカなのかな。私は本気で驚いてほめている真さんを見て笑っていた。

「パパもね、きょうちゃんてんさいって言うよ。きょうちゃんがねお歌をうたったらよろこぶよ。」

「そっか、じゃあ今も喜んでるよ。」

そんなやり取りを聞いていてまた涙が流れる。
私は恭吾をお願いしてキッチンへ行った。せっかく恭吾は笑っているのに横で泣くとまた不安にさせてしまうから。
それからしばらくトイレでお話をしているようだった。
その間に私は朝ご飯が食べれるようにテーブルに準備した。

「恭吾、そろそろご飯食べよう。」

「よしっ、じゃあ恭吾行こうか。おいしそうな匂いでまこちゃんはお腹すいたよ。」

真さんは自分をまこちゃんって呼んでいた。その姿が意外でおかしかった。
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