愛というもの~哀しみの中で~
真さんもやはり甘いものは苦手だったみたいで、私だけはちみつをかけて食べた。
コーヒーは好きらしく、ブラックで飲んでいた。

それからしばらく恭吾と遊んでくれていたけど、真さんも忙しい中休みに来てくれてるので申し訳なくてそろそろ帰るように促した。

「私は四十九日のことはわからないのでお任せします。納骨も。本当にありがとうございました。恭吾の相手ばかりで疲れたでしょう。明日もお仕事だし、家に帰られてゆっくりしてください。」

「えっ?今日は何か予定があった?」

「いえ、予定はありませんけど真さんにご迷惑かけっぱなしで…。」

「昨日も言ったけどもう家族なんだ。茉莉さんはもっと頼ってくれないと。実は提案があるんだけど俺しばらくここに置いてもらえないだろうか?」

ここに?
あまりに予想外の提案に私は固まってしまい、頭がうまく処理できなかった。

「恭吾もその方が安心すると思うんだ。茉莉さんさえ嫌じゃなければ。」

「そんな、嫌とか…。でもそしたら真さんが疲れるだけでしょう。」

「そんなことないよ。可愛い甥っ子に毎日会えるし、恭吾も安心できるし、俺も仕事の日は家事とかできないから申し訳ないけど、休みの日は手伝うよ。どう?生活費も払う。」

すごく魅力的な提案だった。いつ自分が衝動的に死を選んでしまうかと怖かったから。でも真さんが来てくれてから一度も死にたいと考えなかった。恭吾も笑ってくれたし。
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