愛というもの~哀しみの中で~
私はびっくりして、どうしていいかわからずただただ動けずにいた。
片手は私の後頭部に、もう片方の手は腰にまわされ、キスは終わる気配もなかった…。
口内をゆっくり舐め回され、思わず『んっ』と変な声が漏れ出てしまう。
どのくらいキスしてたんだろう?ようやく芹沢さんの顔が離れると力いっぱい抱きしめられた。私もそっと背中に手を回した。

「好き、茉莉ちゃん好き。俺、本気だから。だから信じて、一緒にいよっ。」

私はうん、うん、と頷く事しかできず、目からは涙が溢れていた。

「あ~、かわいい。もっかいしてもいい?」

「む、無理かも…心臓が壊れる…」

「ハハハハッ、心臓はこんなことじゃあ壊れねーよ。」

笑いながら私を抱きしめる手を緩め、私の顔を覗き込む。
私は恥ずかしいやら、嬉しいやら、少し怖いやらでどんな顔をしていいかわからなかった。
そんな私を優しい笑顔で見つめてくれる。きっと私も好き。もし、もしも、私にほんの少しでも幸せになれる権利があるのなら、この笑顔のそばにいたいと思う。
でも幸せになるのが怖くもある。もし裏切られたら?
< 23 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop