愛というもの~哀しみの中で~
真さんは後ろからついて回って恭吾が泣き止むと

「恭吾は強いな。すごいぞ。」

って言っていて、それを見ていた由実ちゃんが笑い出した。

「親バカな大吾くんみたい。さすがお兄さん。大吾くんもいつも恭吾のことで一喜一憂してほめてましたよ。」

「あの大吾が、尖って反抗ばかりしてた大吾しかしらないからな。いいパパしてたんだな。」

「茉莉ちゃんのおかげっていつも昌も言ってました。泣いたところなんて見たことなかったのに茉莉ちゃんのことになるとすぐ泣くっていってました。」

「大吾が泣くのか。仕事も立派に頑張っていたみたいだし、大人になってたんだな。茉莉さんのおかげだ。」

私は恭吾の手当てをしながらその会話を聞いて、もう大吾のことを過去のことのように話しているのに胸が張り裂けそうなほど痛かった。

その日は由実ちゃんが来るときにいろいろ食材を買ってきてくれていて、お昼ごはんに親子丼を一緒に作った。
4人で食べると、真さんは一旦家に荷物を取りに帰った。
由実ちゃんは出産したばかりでおっぱいも張るだろうし、何よりきついだろうに真さんが戻るまでうちにいてくれた。
帰りたくなさそうだったけど、絶対にきちんと連絡するって約束をすると由実ちゃんの実家までタクシーで帰ってもらった。
その日の夜に昌くんからも真さんに『茉莉ちゃんをよろしくお願いします』ってメールが届いたようだった。

「あいつらは本当に、チャラチャラした子供だったのに会わないうちに大人になったんだな」

ってしみじみと言っていた。
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