愛というもの~哀しみの中で~
荷物に、恭吾に私を抱えた真さんはとりあえず車の通らない安全な場所まで運んでくれて鞄から紙袋を取り出すと口元に当てて深呼吸を促してくれる。
その様子を見て恭吾も必死に深呼吸をしていた。
担ぎ上げられて驚いたのもあり不思議ともう呼吸は苦しくなかった。

「車が多いから早く行こうとして置いて行ってしまったね。ごめん。念のために紙袋用意してて良かったよ。」

タイミングよく紙袋を持ってるなと思ったら私の為だったんだ…。

「あ、ありがとうございます。急に苦しくなって…普段はこんなに出やすいわけではないのに…。」

「うん、無理やり連れてきたからストレスになったかな。申し訳ない。」

私は首を横に振る。
恭吾は少し不安気に私の服を掴んでいた。

「恭吾も、一緒に助けてくれてありがとう。もう大丈夫だよ。」

そう言うと目に涙を溜めて私にしがみついてきた。
せっかくご機嫌で公園に来たのに…申し訳ないことをしちゃったな…

「さぁ、ママも元気になったから行こう。」

真さんはそう言って立ち上がると、片手で恭吾を抱っこしてくれて、もう片方の手で私の手を掴むと今度はゆっくり私に合わせて歩いてくれていた。
掴まれた手が熱くて、胸が締め付けられるように痛かった。最後に握った大吾の手はすごく冷たかったな…
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