愛というもの~哀しみの中で~
私は彼女の言葉に胸が痛んだけど、驚きはしなかった。
『やっぱり…』っていう気持ちの方が強かった。

「すみません、大下さんの気持ちも考えずに甘えてしまって…私たちは大丈夫です。もう一度真さん…お義兄さんともきちんと話します。本当に嫌な思いをさせて申し訳ありません。」

私は彼女に頭を下げた。

「頼むわね。もし必要なら子供は私たちが引き取って育てることもできるから。私は子供を産めないの。だから二人で育てられるなら願ってもないことよ。」

私は彼女の言葉に頭をハンマーで殴られたような衝撃を感じた。

「いえ、この子は私が責任を持って一人で育てます。甘えてしまったことは謝ります。でも恭吾だけは誰にも渡せません。」

「そう、わかったわ。私の名刺を渡しておくわね。ケータイ番号も書いてあるからなにかあったら連絡してください。」

そう冷たく言ってテーブルの上に名刺を置くと、立ち上がって帰って行った。
玄関まで見送り、ドアを閉めると涙が溢れて止まらなかった。
悔しくて、でも真さんに甘えていたのも事実で…
そんな私のところに恭吾は寄ってきて足にしがみついていた。

「恭吾、ごめんね。大丈夫よ。ママは絶対恭吾を離さないから。」
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