愛というもの~哀しみの中で~
あっ、もう家に着いちゃう。
明日から学校ないし、どうしよう…
きっと誘ってもすぐに帰るだろうし、だからってキス以上のことが出来る勇気もない…
焦ってて芹沢さん何か言ってるのに耳に入らず目の前にあった手を握った。
しまった…何も言わずに握ってしまった…
芹沢さんはびっくりして私の顔を見た。

「あ、あの…もう家に着くし、その…手ぐらい繋ぎたいなって思って…ごめんなさい。」

慌てて離そうとしたら、ぎゅっと握り返された。

「無理しないで下さい。私の手、き、汚いし…」

いつもだれかの着古したおさがりしか着てなかったから学校ではよく汚いから触るなって言われてた。
だから私の手は汚いって何故だか自分でも思ってて…極力人に触れないようにしていた。

「汚くない。金払ってでも握らせて欲しいくらい尊いし。握ってくれてありがとう。この前怖がらせたのに…」

「あれは、芹沢さんのせいじゃない…私がヘタレなだけで、あの…あの男と芹沢さんは違うってわかるのに…」
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