愛というもの～哀しみの中で～
「私も若いころからコーヒーが好きなの。いつもブラックで飲んでいたわ。ねぇ、あなたっておいくつ？」

そう聞かれて更に心臓が速く打つ。
年齢を言うとばれるかもしれない…。

「たしか、２６才だったよね？コーヒー好きまで似てるなんてね。君たちどことなく似てるんだ。」

そう真さんが答えた。

「そう……２６才なのね。もう一つだけ、変な質問をしてもいい？あなた結婚する前の旧姓って岩崎さん？」

心臓が止まるかと思う衝撃が走った。
私はただただ驚いて彼女を見つめることしかできなかった。

「そう、ありがとう。私たちって似てるのね。」

答えてないけど私の表情で分かったのだろう。
そして、きっと彼女も私が誰なのかもわかっている。

「どうしたの？茉莉さんの旧姓なんて？」

「ううん、ちょっとね。はぁ、仕方がないわ。もう私たち、プライベートで会うのはこれっきりにしましょ。」

彼女の言葉に私はさらに胸が締め付けられて苦しかった。それと同時に私の中で苛立つ感情も湧いていた…
また私は彼女から大切なものを奪ってしまうんだ…。

「仕事で関わるのは仕方がないでしょ？そのくらい我慢してね。」

彼女は私にそう言うと、立ち上がって真さんにお金を渡して出て行った。
どうしよう？私、ダメなのに。私が真さんと関わらないようにしないといけないのに…。
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