愛というもの~哀しみの中で~
私は立ち上がって彼女を追いかけた。

「待って、待って、ごめんなさい、本当にごめんなさい。真さんとはもう関わりません。ごめんなさい。」

「いいのよ。こちらこそ、大人げないことをしてしまって。彼とは何にもないの。だから大丈夫。あなたに家族がいて良かった。ご主人のことは本当に気の毒だけれど、あなたを支えてくれる人が周りにいて安心したわ。」

そう言って彼女は私の肩をポンポンと叩いた。
目からは涙を流しながら私は彼女の手を払った。彼女から触れられることに嫌悪感があったから…。

「私はもう何もいらない。だから…。」

「あなた…、もしかして…」

彼女が驚いて私を見たとき、後ろから真さんが走って追いかけてきた。

「茉莉さん、どうしたの?」

「何か知ってるの?」

そんな真さんのことは気にせずに彼女は私に向かって尋ねた。

「ごめん、透子さんのこと茉莉さんを納得させるために話したんだ。でも、茉莉さんは安易に話して回ったりする子じゃないから。」

「なんで…そんな知らなくていいことを…」

彼女もショックを受けた顔をしていた。
きっと私が私と彼女の関係に気づいていることもわかっているんだと思う。

「あなただけはダメなのよ。あなたが相手じゃ私手だしできないもの。」

彼女が私に意味の分からないことを言う。
手出しできないってなんだろう?
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