愛というもの~哀しみの中で~
「透子さん、意味がわからないけど?茉莉さんと何かあるのか?」

「いえ、いいのよ。真さんは。とりあえず、私はあなたから家族を奪うことはできないわ。」

そういうと彼女は私の前から立ち去ろうとする。
私は必死で…なのに感じたことのない怒りが込み上げてきた。

「いらないわよ!あなたからは何も…私には恭吾だけが家族なの。大吾がくれた私の唯一の家族。あなたからはもう何もいらない!」

私は彼女の背中に向かって怒鳴った。
こんなに腹が立つのは生きていて初めてかもしれない。
怒っている私の顔は酷く醜いに違いない。
私は唇を噛み締めて泣くのをこらえてるのに、涙は溢れて流れ落ちてしまった。

「茉莉さん…俺は物じゃない。それにもう透子さんとはきちんと話合ったんだ。」

「こんな物いらなかったのに、私に会わなければもしかしたら大吾は別の道に進んで生きていたかもしれないのに!私なんていらなかったのに!生まれてこなければ良かったのに…」

怒りでパニックになり心の奥底で思っていたことを口に出して叫んだ。

「茉莉さんっ!」

真さんが怒って私の向かいに来ると左頬を平手打ちにされた。
私は涙を流しながら真さんを睨みつけた。
真さんは悪くないのにとんだ八つ当たりだ。わかっているけど、やり場のない怒りを真さんに向けた。

「違う、大吾は幸せだっただろ?写真を見たらわかる。大吾がそれを聞いたら悲しむんじゃないか?」
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