愛というもの~哀しみの中で~
自分の心の変化に戸惑ってどうしていいのかわからなくなる。
大吾のことも、自分がどういう人間なのかも忘れたわけではない。
でも真さんとの距離が縮まれば縮まるほど、心が軽くなっていっている。

その日は真さんの部屋に家電が設置され、元の部屋の退去の立ち合いに真さんは出かけて、由実ちゃんたちが手伝いに来てくれていた。

恭吾と由彰くんは間取りは同じで雰囲気の違う真さんの部屋が楽しいみたいで、ダンボールや物が散在している中走り回っていた。
昌くんは子どもたちの面倒を見ながら部屋の力仕事中心の片付けをしてくれていた。
そんな賑やかなみんなを見て私の顔は笑っていた。

「茉莉ちゃん楽しそうで良かった。昨日までとは別人ね。何かあったの?」

「えっ?何かって…」

つい真さんとキスをしたことを思い出して顔が熱くなる。

「なに?なに?顔が赤くなってるけど?真さんと何かあったでしょ~!」

由実ちゃんが大きな声で言うから恭吾が嬉しそうに寄ってきた。

「ママね、まこちゃんとぎゅーしてねてたよ。」

恭吾は朝の私たちが戦いごっこしてなかったこと知ってたんだ…

「ハハハッ、子供は正直だからな、しかも良く見てるよ。」

昌くんにも聞こえていて笑っていた。
どうして笑えるの?私は大吾の奥さんなのに。
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