愛というもの~哀しみの中で~
私の顔が暗くなったのを由実ちゃんは見ていて、心配そうな顔になった。

「茉莉ちゃん、私たちは二人のこと賛成だよ。昨日も昌とその話をしてたんだけどね、大吾くんもそのほうが安心するんじゃない?」

由実ちゃんと昌くんが私と真さんの話をしたの?賛成って…

私が更に落ち込んだ顔をしていると、昌くんに腕を掴まれた。

「茉莉ちゃん、ちょっと話そう。由実、子供たちを頼む。」

「う、うん。」

私は昌くんに手を引かれて真さんの部屋を出た。

「どこ行くの?」

「茉莉ちゃんの家。大吾にも聞いて欲しいから。」

大吾にも?何を?
引かれるままに自分の部屋へ行き、大吾の写真の前に連れて行かれた。

「大吾…俺、お前が死んだってまだ信じらんねぇよ。ふらっと帰って来るんじゃねぇかと思ったりする。でもさ、帰ってこれねぇだろ?」

昌くんの言葉に一気に涙が溢れた。私はその場に座り込んで声を上げて泣いた。
そんな私の肩を抱いて昌くんは話続けた。

「茉莉ちゃんごめん、泣かすつもりじゃないんだ。大吾もこんな茉莉ちゃん見てるのつらいだろ?でももう大吾は見てることしか出来ねぇんだ。あいつは茉莉ちゃんの笑顔が好きだった…だから笑って欲しい。大吾のために。」
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