愛というもの~哀しみの中で~
「うっ、うぅっ……大吾…会いたいの。話したいこともたくさんあって…」

「話したらいいよ。大吾はきっと聞いてる。記憶の中で会えるし、写真の中でいつも笑ってる。でもな、俺たちは生きていかないといけない。これは絶対だ。自分で死ぬことを選んだらダメなんだ。」

昌くんは私の顎を持ち上げて上を向かせ、真っ直ぐと私を見つめる。

「なっ、わかって欲しい。ちゃんと生きて欲しい。真さんをもっと頼っていいと思うし、俺たちのことも頼れよ。独りで抱えるな。淋しいのも辛いのも同じだ。だから埋め合うしかない。」

私は昌くんの顔を見てたけど、涙が止まらなくて見えなかった。たぶん泣いていたと思う。
昌くんは話し終わると私を抱きしめた。
私は昌くんの腕にしがみついてまた声を上げて泣いた。

「真さんじゃダメか?俺が見るに真さんは大吾と同じ目で茉莉ちゃんを見てる気がする。」

「昨日、キスしたの。嫌じゃない自分がいて嫌だった。真さんとお付き合いしてた女性が私を生んだ人だった。レイプされて出来た子が私だって…捨てられて当たり前なの。犯罪の上で出来た人間で、私が幸せになんかなっちゃダメなのに…大吾から愛される人間じゃなかったのに…」

私は大吾に聞いて欲しかったことを昌くんに夢中で話した。
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