愛というもの~哀しみの中で~
「ばかだな、こんな可愛い奥さんと子供泣かして。」

真さんが私の隣に座って大吾の写真に向かって言った。
バカ、大吾のバカ、帰ってきてよ。会いたいよ…
しばらく私は真さんに抱きしめられて泣いていた。

義両親はお寿司の出前を取っていてくれていたみたいでお義父さんが私たちを呼びに来た。
私たちがくっついているところを見てどう思っただろう。
きっといい気分ではないだろうけど、お義父さんは優しいから何も言わなかった。

恭吾は泣きながら寝てしまっていてリビングにタオルを敷いてもらい寝かせた。
その寝顔を義両親は愛おしそうに見つめてくれていた。

「大吾の小さいころの写真を見返してたんだけどね、恭吾にそっくりなのよ。この顔、真と一緒にお昼寝してる写真にそっくり。真と大吾って6コ離れてるから一緒にお昼寝してる写真は1枚しかないのよ。」

なんてお義母さんは大吾と真さんの小さいころの話を聞かせてくれた。
やんちゃで、怖いもの知らずで高いところにのぼるのが好きで公園で遊ばせるといつもハラハラしてたって。

「恭吾も同じです。本当にやんちゃで。男の子だからだんだん手に負えなくなってきました。」

「わかるわぁ、真はねそんなに大変だったって記憶はないのよ。どちらかというと大人しくて頑固者って感じで。大吾は単純だけど好奇心旺盛でどんどん先に行っちゃうから追いかけるのが大変だったの。」

そんな話をしながらみんなで笑った。こんなに笑ったのは久しぶりだった。
大吾の小さいころの話を聞くのは楽しかった。
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