愛というもの~哀しみの中で~
「アハハハッ、可愛かったのか。大吾が。見てみたかったよ。俺には随分と生意気な態度だったからな。」

「でも大吾は真さんのこと話すときいつも嬉しそうに話してたよ。自慢のお兄さんで、スーツ姿がかっこいいって言ってた。私もいつか会ってみたくて会うのが楽しみだったくらい。」

「へぇ、で?会えた感想は?」

感想…そんなの恥ずかしくて本人にいえるはずがない。

「大吾の言っていた通り。」

「えっ?かっこいいって?」

絶対真さんからかってる。

「そうですね。」

私は感情をこめずにそう返事した。
その反応に真さんは楽しそうに声を上げて笑っていた。やっぱりおもしろがってる。

「俺の茉莉さんの第一印象は可愛いなぁだったよ。最近は笑顔が増えて更に可愛いよ。」

またそうやって私をからかっているんだ。
真さんは運転しながら左手で私の頬を撫でる。そんなことされるとドキドキするけど旅館に着くまで絶えずおしゃべりをしていたから緊張とは程遠く、すぐに旅館に着いた。

車を停めて降りると、伸びをする。さすがに1時間ちょっと座っているのは体がこってしまう。

「ママぁ~!まこちゃん!」

恭吾が私たちを見つけてこちらに走ってくる。
真さんは恭吾の声がするとすぐに駆け寄って抱っこしていた。
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