愛というもの~哀しみの中で~
大吾はあまり私に触れないようにしていたと思う。だからこの前みたいに足の力が抜けると後ろによろめいた。
慌てて腰に手を回されて支えられたけど、すぐにその手も離れた。

「ごめん、つい触った。」

私は首を振る。気を遣わせていることがいたたまれなかった。
普通のカップルならそんな事気にしなくていいのに…泣きそうになり慌てて後ろを向いてキッチンへ向かった。

「お茶、入れるから座って待っててね。」

そう言ってマグカップ2つに麦茶を入れてテーブルに持って行った。

「俺、カメラ付きのケータイ買ったんだ!写真撮って待ち受けにしていい?」

すごい!カメラ付きケータイなんて!私なんてやっとケータイ買ったばかりなのに。
受信のみで発信はほとんどしない。家に電話付けるのは電話券が高くてあきらめた。
そもそも、電話を持ち歩けるのがすごい事だ!
< 32 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop