愛というもの~哀しみの中で~
その日も朝から賑やかで、食べ物メインの観光に回った。
帰りの車は恭吾も私たちの方に乗り、私も一緒に後部座席に乗った。
私も恭吾も疲れててはじめこそおしゃべりしていたけどいつの間にか二人とも寝ていた。

「二人とも、着いたよ。」

気付くと真さんが後部座席を開けて私たちを起こしてくれていた。
外を見るともう真っ暗でマンションの駐車場に停まっていた。

「わっ、寝ちゃってた…。ごめんなさい」

「疲れただろうから眠れて良かったよ。」

「そんな…真さんも疲れてるのに…由実ちゃんたちは?」

そういえば、ホテルで別れたきりだ。

「さっきコンビニで一旦停まって別れたよ。また連絡するって言ってた。さぁ、家に入ろう。」

真さんは恭吾と荷物を持ってくれて、私はお土産をいくつか持っていただけだった。
家に入るとさすがに真さんも疲れていたみたいで恭吾をベッドに寝かせるとソファに座ってぐったりしていた。

「何から何までありがとう。楽しかった。」

温かいお茶をいれると真さんの前に置いた。
私は荷物を片付けようと下に座ると、真さんに腕を引かれて膝の上に座らされた。
そのまま私の背中に手を回すとぎゅっと抱きつかれた。

「さすがに若くないって実感したよ。」
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