愛というもの~哀しみの中で~
「ハハハハッ、冗談だよ。可愛いな、茉莉さんは。」

からかわれた。最近本当の恋人のような感じだ。
あれ?恋人なのかな?夫婦じゃないし…。家族…。

「フフッ、何を悩んでるの?一緒に入る気になったとか?」

私は慌てて首を横に振って否定した。顔が熱い…。

「クククッ、そんなに必死にならなくても。冗談だよ。顔が赤くなってる。」

「もうっ、からかわないで。」

私は無理やり真さんを引きはがして膝の上からおりた。

「ハハハハハハッ、可愛いなぁ。」

そう言って真さんは私の後ろを追ってきて抱きしめると頭にチュッとキスをして洗面所に入って行った。
困った。こんなに甘い雰囲気になれてないから…。
大吾ともすごく仲良しだったけどまた違った雰囲気でどう対応したらいいのかわからなかった。

その旅行を機に恭吾はよく由実ちゃんの家にお泊りをするようになった。
代わりに由彰くんがうちにお泊りすることもある。
初めは二人きりの夜に戸惑ったけど真さんはキス以上のことは何もしてこなかった。
恭吾のお泊りの日は行ったことのないようなおしゃれなお店を予約してくれて美味しいものを食べに連れて行ってくれた。
居酒屋さんとは違うバーなどにも連れて行ってくれた。もともとお酒はあまり好きではなくて飲まないけれど飲みやすいお酒を教えてくれたりと、大人のデートのようなことをしていた。
< 331 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop