愛というもの~哀しみの中で~
いざ、お泊り保育でバスに乗った子供たちを見送ると淋しかった。
由実ちゃんの家にお泊りに行くのとは違ってなんだか少し遠くにいく感じがあった。

「少しお兄ちゃんになって帰ってくるといいけど。」

由実ちゃんは昌美ちゃんを抱っこして淋しそうに言っていた。

「うん。やっぱり成長するのってうれしいけど淋しいね。手を離れていく感じがする。」

「そうだねぇ。最近じゃなんでも自分でできるようになってきたし、小学校に上がったらもっとだろうなぁ。」

見えなくなってもバスが行った方向を見つめて二人でそんな話をしていた。

「でもきっと明日はべったりだよ。大丈夫そんな急には離れていかないから。」

真さんも淋しそうな顔をしていた。

それから真さんが子供も一緒に行けるカフェに連れて行ってくれて少しおしゃれなランチをごちそうしてくれた。
そのカフェにはミルクレープがあった。

「茉莉ちゃん、ミルクレープ!懐かしい。」

由実ちゃんが気づいて教えてくれた。

「本当だ。よく食べたなぁ。大吾もいろいろ調べて連れて行ってくれたりして。」

笑って話せたけど、また最近涙腺が緩くなっててポロって涙がこぼれた。

「茉莉ちゃん、食べてみようよ。おいしそうだし。コーヒーも。」

由実ちゃんはそんな私の背中をさすってくれた。
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