愛というもの~哀しみの中で~
淋しそうに私を見つめる真さんを私は心から愛おしく感じた。
私は両手で真さんの顔を包むと自分からキスをした。
あまり自分からすることはないからキスをしてから急にドキドキし始めた。

真さんは私の腰に手を回すとグイって自分に引き寄せる。
唇は離れず、深く、深くなっていき、気付くとソファに押し倒されていた。
私も夢中で真さんの首元に手を回していた。
そのキスはいつものキスとは違って少し強引で、ずっと舌が絡まり合っていた。
私は自分が興奮しているのを感じていた。身体がゾワゾワとして時折小さく声が漏れる。

ようやく唇がはなれて真さんが顔を上げる。

「茉莉さん、好きだ。心から愛してる。」

私の目からはまた涙が溢れだした。

「私も。心から愛してる。」

本当はもうずっと前から気づいていたのに口に出せずにいた言葉をやっと言えた。
真さんはすこし驚いていたけど嬉しそうに笑ってまた私にキスをした。

「真さんってそういう欲求ってもうない?」

「えっ?そういうって…」

「キスしかしないから、私に女としての魅力もないのかもしれないけど…」

真さんの顔はすごく驚いた顔になった。その顔がおかしくてつい笑ってしまった。

「笑うなんて。ないはずないだろう。でも茉莉さんこそ嫌だろ?」
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