愛というもの~哀しみの中で~
真さんはひとつひとつ確認してゆっくりとでも確実に私を追いつめていった。
私の身体はひとたび快感に触れると、これから与えられるであろう感覚を思い出して敏感に反応し声が漏れ続けた。

「可愛い。茉莉さん、茉莉、好きだよ。」

真さんは何度も『好き』って言ってくれ、時折『茉莉』って呼んだ。
その声が大吾に呼ばれているような錯覚を起こした。
でも私の前に上がってきて見せてくれる顔も、匂いも、体つきも、触り方も触る順番も全く違った。
私は自分でもわからない感覚で涙が溢れる。

真さんは私の涙を見て困ったように笑って拭ってくれる。

「やめる?続ける?」

唇と唇が触れそうで触れない距離で聞かれる。

「…つづける」

言い終わると唇が触れて口内に舌が入ってくる。それと同時にグイっと片方の太ももを持ち上げられた。
来るって思って歯を食いしばろうとして真さんの舌を甘噛みしてしまった。
どうしようと頭が混乱していると、ゆっくりと真さんは私の中に入ってきた。
私は泣くような喘ぎ声を上げると、絡められる舌の動きが激しくなった。

私はしきりに泣くように声を上げて真さんにしがみついていた。
真さんは最後まで優しく、でも少し強引だった。

そして、やっぱり私の声はかすれていた。
『やらしくかすれた声』って笑っている大吾の顔が一番に浮かんだ。
私は真さんと繫がれたことがうれしく、大吾以外の人と繫がってしまった罪悪感が入り混じって泣いてしまった。

< 341 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop