愛というもの~哀しみの中で~
その日はお昼前まで真さんの部屋でのんびりした。
でも真さんの部屋には食べ物もなく、ペットボトルの水があるくらいだったからさすがにお腹がすいて二人は動き出した。

「こんなにのんびりしたのは初めてかもしれないな。」

「私も。」

私は少しずつ声が出るようになっていった。
今日も外でランチを済ませて、由実ちゃんたちと合流し幼稚園へ向かった。

「茉莉ちゃん、風邪ひいたの?声がかれてる。」

由実ちゃんに気付かれてしまった。

「由実、そこは気づかなかったことにしておけよ。」

って昌くんは何か勘づいたような顔をして言った。
由実ちゃんは『なんで?』って顔をしていたけど、昌くんはこっそりと私に

「大吾が茉莉ちゃんのかすれた声が可愛いって言ってたよ。」

って、大吾そんなことまで昌くんに言ってたなんて!
顔から火が出そうなほど熱くなった。

「おいおい、昌、茉莉さんの顔が赤くなってるじゃないか、いじめるなよ。」

ニコニコしながら真さんは言っていた。きっと昌くんの声が聞こえていたに違いない。

そんなやり取りをしていたら、幼稚園にバスが到着した。
子供たちが早く早くといった様子で1列にならんで降りてきた。
恭吾は私たちを見つけると一目散に駆け寄ってきた。
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