愛というもの~哀しみの中で~
大吾の休みの日に私も合わせて1日だけ休みを取った。
予定では先輩に車を借りて海に行って、夜は花火を見ることになっていた。
なのに…タイミング悪く生理になってしまい海沿いをドライブして、ランチをして人気のある映画を見た。夜は予定通り、一旦車を先輩に返してバスで花火大会に行った。

「さすがに花火は人が多いな。」

「うん…迷子になったら会えなさそうだね。」

こんな人ごみに来るのは初めてだった。満員電車のように押し込まれたように人がいた。
大吾は慣れてない私が歩きにくそうなのを見て繋いだ手を離し、腰に手を回しはぐれないようにしっかり捕まえるように歩いた。
大吾のそういった一つ一つの行動が私は大好きだった。
半ば強引だけど私の事を考えてしてくれてるのが伝わるからだ。こんな私でも大切にされていると実感する。

「人前でこんなにくっつくのは恥ずかしいよ。」

嬉しいのに照れ隠しで私が嫌がるふりをすると

「こんなにぎゅうぎゅうなんだから誰にも見えないって。」

とわざと私の耳元で言う。
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