愛というもの~哀しみの中で~
でも前のような嫌悪感や恐怖感 ではなく、何か温かい、もどかしい感覚だった。
キスに応えるのに必死だった私は気づかない間に体勢を変えられて仰向けにされており、大吾に覆い被さられていた。
大吾の唾液が流れ込んで私の唾液と混ざり口の端からこぼれ落ちる。私は呼吸がうまくできずに苦しくなり大吾の胸元を必死に掴んでいた。
でもやめてほしくはなく、むしろもっと触れてて欲しかった。

「ごめん、つい夢中で…フッ」

パッと顔を離すと大吾は私の顔を見て笑った。そして口から流れた唾液を辿るように頬を舐めた。

「なんで笑うの?変だった?」

「イヤ、今の茉莉の顔めちゃくちゃそそる。怖いって感じじゃなく俺を感じてるヤラシイ顔してた。」

そういって私に体重を乗せてぎゅーっと抱きしめた。

「重い…大吾ってばっ、苦しい。」

私は大吾の背中をポンポンっと叩くけどガッシリと筋肉質な体はびくともしない。

「あっつー!今何時?」

体を離し起き上がると私の横に座った。
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